発達障害研究所
Institute for Developmental Research
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グリアと自閉スペクトラム症

平成29年 3月 6日(月) 16時00分〜17時30分
愛知県心身障害者コロニー
研究棟 セミナー室

講演:奈良県立医科大学精神医学講座講師 牧之段学 博士


【抄録】 

 自閉スペクトラム症(ASD)の発症に遺伝要因が強く関与することは知られているが、最近の研究によると環境要因も少なからずその症状形成に寄与することが明らかになってきた。幼少期に虐待を受けたこどもらは発達障害様の症状を呈すことがあり、これらがASDと診断されている可能性も考えられる。マウスの幼若期社会的経験の質は前頭前野のミエリン形成に影響を与え、またマイクログリアの動態も変化させる。ミエリン形成やマイクログリアの異常はASD患者脳でも報告されており、臨床症状と同様に、脳内の病態もASD患者と被虐待患者では類似しているのかもしれない。本セミナーでは、自閉スペクトラム症症状の一部は、幼少期の社会的経験の質の相違によって形成される可能性、またそれらがグリアの動態を介しているかもしれないこと、そして後天的に形成されたASD患者の症状は何らかの介入により修復可能であるかもしれないこと、などを話したい。



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