発達障害研究所
Institute for Developmental Research
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2008年度 発達障害研究所 共同セミナー


日時 平成21年3月17日(火) 10:30−12:00

場所

発達障害研究所 1階共同セミナー室

演題 哺乳類の脳の発生と修復におけるShhシグナルの役割
講師 元山 純 ユニットリーダー
理化学研究所 脳科学総合研究センター 病因遺伝子研究グループ

講演要旨   私達は脳機能障害を伴う先天性疾患の発症機序解明を目的として研究を行っている。脳の発生は遺伝子の変異、環境リスク因子からの作用に対し感受性が高く、脳発生過程を制御する分子機構の解明が脳機能障害の発症機序の解明の基礎となると考える。現在までに私達はマウスの脳発生過程を制御する分子機構の一つであるソニックヘッジホッグ(Shh)カスケードの機能を解明するとともに、環境リスク因子に対する応答を研究してきた。ヒトShhカスケード遺伝子群は家族性全前脳症をはじめ顎顔面、四肢の異常、内蔵逆位、若年性脳腫瘍等の原因遺伝子であり、モデルマウスを用いたそれら疾患の発症機序の解明は急務である。
  私達はShhのマウス脳の正常発生における機能の解析を進め、その成果をもとにShh遺伝子変異による全前脳症の発症機序を解明した。同時にShhカスケードは環境リスク因子(酸化ストレス)に対し脆弱である事を発見し、胎児性アルコール症候群(妊娠中の母親の飲酒による先天性脳機能障害)の症状である顔面と脳の正中欠損もShh遺伝子発現の阻害によるものである事を明らかにした。またShhは脳の正中決定時期のみならず、胎生後期での脳の発達や生後の神経幹細胞の維持に関与する事を発見した。それらの知見を紹介し Shhカスケードの哺乳類の脳の発生と修復における機能を概説する。
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