発達障害研究所
Institute for Developmental Research
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2008年度 発達障害研究所 共同セミナー


日時 平成21年3月19日(木) 16:00−17:30

場所

発達障害研究所 1階共同セミナー室

演題 ラット脳のパラフィン包埋切片を用いた神経新生制御分子の探索の試み:
〜最新プロテオーム解析技術の基礎医学研究への応用〜
講師 榎本 篤 特任講師
名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学/名古屋大学高等研究院

講演要旨  従来、組織のプロテオーム解析は検体の保存法やタンパク質の回収法などに専門的な知識と技術を要することが多く、他分野の研究者には比較的敷居の高い手法であった。しかしながら本セミナーで紹介される高速レーザーマイクロダイセクションとタンパク質抽出技術、さらに高感度質量分析計を組み合わせた技術は、手元にパラフィン包埋組織さえあれば誰でも(難しい知識がなくても)容易にプロテオーム解析が可能となる画期的な技術である。従来、成体の脳では神経細胞は再生されないと考えられてきたが、近年の研究により海馬の歯状回とRMS(rostral migratory stream)と呼ばれる領域では神経細胞が新生され続けていることが明らかにされている。本現象は「成体脳におけるニューロン新生」あるいは「adult neurogenesis」と呼称され、再生医学という観点からも多方面の研究者から注目されている。本研究では海馬歯状回とRMSをレーザーマイクロダイセクションで単離し、上記技術を用いたプロテオーム解析によって神経新生の制御因子の探索を(私達のような初心者が)試みたので紹介したい。得られた膨大な質量分析計データの中から極めて興味深い分子群が検出されており、神経新生に特異的な制御分子同定への新たな知見が提供されつつある。一方で、実際に実験を行ってみると、質量分析データの解釈の方法、候補分子に対するvalidationの方法など様々な問題点や課題も浮上している。しかしながら本技術はこれらの問題点を補って余りある可能性を有しており、今後、臨床から基礎まで幅広い研究分野で、様々な病理検体や組織検体で応用されることが期待される技術である。
フッタ