発達障害研究所
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ECHS1 欠損症の姉弟例の病態解明

   要旨:ECHS1(別名:クロトナーゼ)は、ミトコンドリアの脂肪酸のβ-酸化や分枝鎖アミノ酸の代謝に関与する重要な酵素です。分枝鎖アミノ酸の一つであるバリンを異化する過程には、中間体としてメタクリリル-CoAが含まれます。メタクリリル-CoA は細胞内の還元型グルタチオンなどのチオール化合物やタンパク質のSH基と不可逆的に結合し、還元状態の低下やタンパク質の機能障害を引き起こすので極めて有毒な化合物です。このメタクリリル-CoAの分解に関与する酵素がECHS1です。従って、ECHS1欠損症では、メタクリリル-CoAが分解されないため、脳を含む様々な器官に重篤な機能障害が引き起こされます。最近、本欠損症の重症例では、様々なメタクリリル-CoAの代謝産物が患者尿中に増加することが報告されました。本論文では軽症のECHS1欠損症の生化学的解析を行い、N-acetyl-S-(2-carboxypropyl)cysteineが患者尿中に特異的に増加していることを初めて明らかにしました。従って、N-acetyl-S-(2-carboxypropyl)cysteineの検査は、発症前のECHS1欠損症の同定やECHS1欠損症の出生前診断に重要であると考えられます。

報告論文のリンク
DOI: 10.1136/jmedgenet-2015-103231.