発達障害研究所
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SLC19A3欠損症の病態解明とチアミン治療の検証

 要旨:食物中のチアミン(ビタミンB1)は、消化管の細胞膜の2種類のチアミントランスポーター(SLC19A2、SLC19A3)によって、体内(血液中)に取り込まれます。血液中のチアミンは全身の細胞に到達し、各細胞のチアミントランスポーターによって細胞内に取り込まれます。SLC19A3遺伝子の機能不全であるSLC19A3欠損症では、大脳基底核や視床に病変が出現し、多くが小児期までに死亡します。本論文では、本症のモデルマウスであるSlc19a3/E314Qノックインマウス(KI)、及びSlc19a3ノックアウトマウス(KO)をチアミン含有量の異なる食餌を用いて飼育し、SLC19A3異常症の病態の解明と本症の治療法(チアミンの投与量および時期)に関する研究を行いました。チアミン制限餌により、KI・KOの視床内側下核及び視床腹側核において、1)神経変性による神経細胞数の減少、2)ミクログリアの活性化が起きていることを明らかにしました。これらの表現型は、野生型のマウスがチアミン欠乏になると現れる表現型と共通するので、SLC19A3欠損症は、細胞内のチアミンが不足することで症状が現れると考えられました。また、これらの表現型は再びチアミンを多く含む食餌で飼育すると回復できますが、チアミン制限期間が長いと回復できないことを明らかにしました。すなわち、本症の治療にはチアミンの投与が有効であり、早期発見が重要であると考えられました。

報告論文のリンク
DOI: 10.1371/journal.pone.0180279