前  神経制御学部 研究テーマ(その1) 次


包括的解析バッテリーを駆使した発達障害原因遺伝子の病態機能解析

 



 神経制御学部では、知的障害(ID)、自閉性疾患(ASD)および乳幼児てんかんの病態形成メカニズムを分子から個体レベルで包括的に解明する研究を行っている。研究手法として“発達障害の病因・病態分子解析バッテリー”を独自に構築し、原因遺伝子の異常が引き起こす病態をin vivoとin vitroで解析している。具体的には、マウス子宮内胎仔脳遺伝子導入法を用いて研究対象遺伝子の発現を抑制・促進し、大脳皮質発生期の神経細胞移動、軸索伸長、樹状突起網形成、細胞周期、海馬歯状回顆粒細胞の形態形成をex vivoで観察すると共に、初代培養海馬神経細胞を用いたシナプス形態、生化学・分子細胞生物学的解析を行う。神経細胞の局在・形態異常が観察された場合には、共焦点レーザー顕微鏡観察下でのライブイメージングで詳細に解析し、さらに、ノックダウンマウスの行動解析や電気生理学的解析も遂行可能である。私共の強みは、分子からマウス個体まで、一連の実験を包括的に完結できる点にある。この解析バッテリーを主軸に臨床各施設との共同研究を効果的に運用し、ID、ASDおよび乳幼児てんかんの病態関連分子に関する具体的な研究成果を挙げることで臨床との連携を推進している。