前  神経制御学部 研究テーマ(その1) 次


脳神経系におけるセプチンの機能解析:生後発達期における大脳皮質形成への関与

  セプチンは、酵母から哺乳類まで保存されている分子量4〜8万のGTP結合タンパク質である。これまで、セプチンの研究は、下等真核生物を用いた遺伝生物学的解析を中心に進められ、細胞分裂に関与することなどが知られている。哺乳動物では、12種類のセプチン分子(Sept1〜Sept12)が存在し、ダウン症などの知的障害や種々の神経疾患での脳内発現異常が報告されていることから、その機能解析が、病態の解明や治療法の開発につながる可能性がある。しかしながら、神経組織におけるセプチンの生理的機能についてはほとんどわかっていない。そこで、脳神経系におけるセプチンの機能解明を目指し研究を進めている。ラット全身臓器における各種のセプチン(Sept6、Sept7、Sept8、Sept9、Sept11)の分布を検討したところ、これらすべてのセプチン分子は、脳での発現が認められ、とくに、Sept6、Sept7、Sept8は、脳に選択的に発現していた。次に、ラットの胎生期から生後にわたる、脳の発達に伴うセプチンの発現変化を調べたところ、生後発達に伴ってSept8の発現が顕著に増加していた。さらに、ラット海馬初代神経細胞におけるSept8の局在は、神経シナプスのマーカーであるシナプトフィシンと一致していた。これらの結果から、Sept8は、脳において、生後発達期のシナプス形成に何らかの役割を果たしていると考えられるため、さらに解析を進めている。