前  神経制御学部 研究テーマ(その5) 次


ヒト脳の独自性を決定する発生機構の解明

 ヒトの脳は進化過程で著しく巨大化し、高度な精神活動を担うに至った。これまで哺乳類脳の発生機序に関する多くの知見が、マウスをモデル動物として集積されてきた。しかしヒト脳とマウス脳は構造や大きさが全く異なり、ヒト脳独特の発生機構の存在が示唆される。このような進化過程で最近獲得された発生機構は様々な外的、内的撹乱に対して脆弱であり、結果として知的障害や発達障害の原因となることが予想されている。ヒト脳に独特な発生機構は、基本型の哺乳類脳発生機構の様々な過程の強弱によって達成される。我々は主にマウスを研究対象としながらも、ヒトやその他の霊長類胎児脳との対比により、発生過程のどのような部分がヒト脳の独特な発生に関わっているのかを特定し、またその違いを生み出す分子機構を解明する。