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交感神経活動を重度障害者の代替え意思伝達手段とするための研究

  • 青木 久(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、機能発達学部)
  • 塚原玲子(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、機能発達学部)

 随意動作の困難な重症心身障害児・者が、動作を介することなく意思を伝達する方法を開発するために、交感神経活動が意思伝達手段に利用する方法を研究しています。現在、使用されている支援機器の多くは、操作するために手、足、舌などの何らかの動作が要求されます。しかし、重度の運動障害のある場合には、スイッチを正確に操作することは容易ではありません。そこで、随意動作に代わる操作手段として、文字や図形などの認知・判断過程を反映する自律神経系の反応を利用する研究を始めました。これまでに、コンピューターディスプレイに文字を表示したときに、自分の選びたい文字が呈示されると、皮膚交感神経反応と瞳孔散大の出現することを明らかにしました。さらに、交感神経反応によって、表示された文字から70%の確率で伝えたい文字を選び出せました。これらの結果から、交感神経活動を意思伝達手段に利用できることが示唆されましたので、現在、交感神経活動により操作する交感神経スイッチの開発を進めています