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車いすダンスと体力に関する研究

寺田恭子、里中綾子、寺田泰人2、佐藤佳子3、高橋麻由美3、有賀恵美子3、樫原浜美3、柴田二三江3、麻生幸三郎3鈴木伸治
1名古屋短期大学、日本車椅子ダンス協会、2名古屋経済大学短期大学部、3こばと学園

 車いすダンスに関する研究はほとんど皆無である。21年度実施した予備的研究では電動車いすを用いた車椅子ダンスを行う45歳の重度脳性麻痺者が典型的に過ごす平日および車いすダンス競技会のそれぞれの機会に連続心拍数を測定した。連続心拍数の測定結果から平日はほとんど安静に生活をしていた。しかし、車いすダンス競技会では心拍数は150/分以上が8分間以上持続していた。最大酸素摂取量は1120ml/minと同年代の女性に比べ低値ではなかったが、電動車いすを用いたダンスは高い強度の有酸素運動となっていることが推定された。22年度は競技中の連続写真の分析から電動車いす上で体幹の激しい動きが観察された。彼女の有酸素運動能やダンスパフォーマンスをさらに向上させる電動車いすの改造についても着手した。また22年度は両手が使える普通型車椅子を利用するトップクラスのダンサー2名の身体活動と有酸素運動能の測定を行い、同時に心理テストも実施した。23年度は、二分脊椎、脊髄損傷がある6名の車椅子アスリートの最大酸素摂取量を測定した。また車椅子ダンスの振り付け動作の際の動作筋電図を計測した。これら研究成果の一部をVista2011で報告し、活発な議論が交わされた。今後データの集積により車椅子ダンサーの競技パフォーマンスを向上させるストラテジーについての知見も得られる可能性がある他、過去10年の障害者スポーツにおける車椅子ダンスに対する差別、偏見を払拭できると考える。平成24年度は重症心身障害児者施設こばと学園の中1病棟と連携し、研究を発展させた。6名の痙直型アテトーゼ脳性麻痺者のワルツとジャイブ時の循環反応を調べ、日常の身体活動程度や運動協調障害程度との関連を分析した。25年度はこれらの知見を寺田がこばと学園で講演し、職員との意見交換によりトレーニングのためのプロトコルを開発する予定である。また、知見の一部を国際誌等に公表する準備を始めた。

 

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