脳白質障害が惹起する高次脳機能障害の解析のための新たな実験系の開発
自閉症や知的障害児にしばしば見られる病理像の一つに、発達期の白質病変が挙げられます。しかし残念なことに、これまでその発症機構はもとより、その後に続く高次脳機能障害の形成メカニズムは殆ど研究が進んでいません。
私たちは、時期特異的に脳白質障害を発症させることができる遺伝子組換えマウスを作成し、障害の発症時期の違いがその後の高次脳機能障害にどのような差異をもたらすかについて、詳細な解析をおこなっています。またこれらと並行して、世界的にも殆ど例の無いマウス脳由来オリゴデンドロサイト系譜細胞の初代培養系を確立し、様々な疾患モデルマウスのオリゴデンドロサイトを、分子生物学的、薬理学的手法を用い、in vitroで解析することを可能としました(下写真
参照)。
本研究は、発症時期の違いによって異なる病理像ならびに臨床像を呈する様々な脳白質障害の本態を分子レベルで理解する上で極めて重要であるだけでなく、これまで根本的な治療法の無かった脳白質障害の新たな診断、予防ならびに治療法の開発にとっても必要不可欠なものと考えられます。
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