周生期学部 研究テーマ(その1)
胎生および周生期における脳の形成とその機能障害に関わる遺伝子の探索とその機能解析
- 高木 豪 (愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、周生期学部)
- 西崎 有利子(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、周生期学部)
- 松井ふみ子 (愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、研究企画調整科)
- 東 雄二郎 (愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、周生期学部)
私たちの脳は、母体内でほんの数ミリの大きさの原腸胚期と呼ばれる時期からすでに脳の原基となる神経組織の形成が始まっています。そして出生時期になるとその大まかな形は出来ていますが、この時期から脳としての高次な機能を果たすためのさらに繊細かつ複雑な脳の構築が始まります。出生後も体の成長と共に脳もさらに複雑さを増しながら成長し、最終的に成熟した脳を作り上げます。特に出生前後(周生期あるいは周産期と言います)はその後の脳の複雑な機能構築に重要な時期であり、この時期に何らかのダメージを受けるとその後に脳性麻痺などの重篤な結果をもたらします。このような脳障害の原因の解明とその治療には、まず脳の組織形成およびその機能的構築の理解が必要になります。私たちのグループではそのような脳の形成過程に重要な役割を担っていると考えられるzfhx1ファミリー転写因子の機能について、それらのノックアウトマウス等を用いて解析を行っています。これまでに、このファミリーは胎生期の極めて初期の段階や、また周生期の脳の構築過程に必須の役割を担っていることがあきらかとなって来ました。現在、さらにzfhx1ファミリー転写因子が他のどのような分子を制御しながら働いているのか研究を行っています。またこの遺伝子ファミリー以外にもおそらく様々な因子が脳の組織形成と機能構築に関与していると考えられますが、そのような遺伝子に関してもその探索と機能解析をすすめていきます。
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関連論文
- Takagi, T. et al. (1998) dEF1, a zinc finger and homeodomain transcription factor, is required for skeleton patterning in multiple lineages.
Development, 125: p21-31
- Van de Putte, T. et al. (2003) Mice lacking ZFHX1B, the gene that codes for Smad-interacting protein-1, reveal a role for multiple neural crest cell defects in the etiology of Hirschsprung disease-mental retardation syndrome.
Am J Hum Genet, 72: 465-470
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Miquelajauregui, A. et al., (2007) Smad-interacting protein-1 (Sip1/Zfhx1b)
acts upstream of Wnt signaling in the mouse hippocampus and controls its
formation
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104: 12919-12924
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