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ダウン症候群非定型例の染色体解析

  • 若松延昭(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、遺伝学部)
  • 近藤容子(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 水野誠司(愛知県心身障害者コロニー中央病院)
  • 山田憲一郎(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、遺伝学部)
  • 山田裕一(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、遺伝学部)

 ダウン症候群(DS)は、過剰な21番染色体(21トリソミー)により発症する染色体構造異常症であり、内眼角贅皮、眼裂下斜、低い鼻梁等の特徴的顔貌、精神発達遅滞(MR)、先天性心疾患、消化管奇形などの症状が見られる。21番染色体の部分トリソミー(21部分トリソミー)の症例に見られる様々な症状の解析から、DSの特異症状に関連する染色体の領域(DSCR)が解析され、現在では21q22のD21S55とMX1の間の約5Mbの部分トリソミーがMR、特徴的な顔貌、先天性心疾患の発症に関与していると考えられている。しかしこれら以外の領域とDSの症状との関連については未だ不明な点が多い。DSの症状が見られない21部分トリソミーの2症例では、過剰な21番染色体の長腕の末端領域が3番染色体短腕(3p)と、14番染色体長腕(14q)の末端領域と入れ代わっていた。本研究では2症例の過剰な21番染色体の断点部位を同定し、さらに報告されている21部分トリソミーと3p、14qの末端トリソミー症例との症状を比較検討し、2症例の病因について考察した。2症例の21部分トリソミーには、中等度MR、発達の遅れ、低身長が共通には認められたが、DSに特徴的な顔貌は認めなかった。FISH解析の結果、過剰な21番染色体にはDSCRを含む長腕の末端領域が欠損しており、代わりに3p26.1-ter, 14q32.1-terが挿入されていた。3pと14qの末端領域が2症例の特異顔貌に関与していると考えられ、いずれも最も短い3p、14qの部分トリソミーであった。さらに、DSCRを含まない21部分トリソミー(21pter-q22.1)が、MR、低身長、小頭症、足趾の異常に関与すると考えられた。

関連論文
  1. Kondo Y, Mizuno S, Ohara K, Nakamura T, Yamada K, Yamamori S, Hayakawa C, Ishii T, Yamada Y, Wakamatsu N: Two cases of partial trisomy 21 (pter-q22.1) without the major features of Down syndrome. Am J Med Genet A 140: 227-232. 2006.

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