遺伝学部 研究テーマ(その8)
レッシュ・ナイハン症候群の遺伝子解析
- 山田裕一(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、遺伝学部)
- 野村紀子(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、研究企画調整科)
- 山田憲一郎(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、遺伝学部)
- 若松延昭(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所、遺伝学部)
プリンサルベージ系の酵素、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ (HPRT) が先天的に完全に欠損すると、高尿酸血症、不随意運動、筋硬直、精神遅滞、特有の自咬症を呈するレッシュ・ナイハン症候群を発症する。部分欠損では、高尿酸血症が重症の痛風や急性腎不全の原因となり、神経症状を有する例も見られる。我々は国内のみならず、アジア諸国(韓国、インド)からの依頼に応じて、これらHPRT欠損症の患者の遺伝子変異を同定し、家系に応じた変異の検出法を確立して、結果を出生前遺伝子診断や家系の保因者診断に供与している。X染色体長腕に座位するヒトHPRT遺伝子の全塩基配列をもとに、PCR法を用いてHPRTの9個のエクソンをPCR増幅、またmRNAからRT-PCRによりcDNAを増幅して直接塩基配列決定法を用いてHPRT欠損症における遺伝子変異を同定しているが、これまでに貴重な女児例2例を含む50症例以上の分析から、42の原因遺伝子を同定し、検出法を確立している。HPRTの遺伝子変異は多種多様で家系ごとに異なり、変異解析には、熟練の技術を要することから、現在も変異解析を続けている。
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関連論文
- Yamada Y, Wakamatsu N, Ogasawara N et al: Mutations in the hypoxanthine
guanine phosphoribosyltransferase gene (HPRT1) in Asian HPRT deficient
families. Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids 23: 1169-1172, 2004.
- 山田裕一:HPRT完全欠損症、HPRT部分欠損症.「高尿酸血症・低尿酸血症-痛風の治療新ガイドライン-」高尿酸血症の臨床.日本臨牀増刊 61:
288-293, 2003.
- Yamada Y, Goto H, Ogasawara N et al: Molecular analysis of five independent
Japanese mutant genes responsible for hypoxanthine guanine phosphoribosyltransferase
(HPRT) deficiency. Hum Genet 90: 379-384, 1992.
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